経営コラム


若手を抜擢すると、なぜ古参が腐るのか?―心理学で解く「不満」の本質

「優秀な若手をリーダーに抜擢したい。しかし、創業期から支えてくれたベテラン勢の反発が怖い……」

組織の「若返り」と「拡大」が同時に求められる経営者様から、最も多くいただく悩みです。
実は、古参社員が怒っているのは「若手が評価されたこと」そのものではありません。
人間の脳が持つ「公平性バイアス」と「自尊心の危機」が引き起こす、防衛反応なのです。

ここを無視して「成果主義だから」と押し切ると、組織の土台が崩壊します。
摩擦を最小限にするために必要な、3つの心理学的アプローチをお伝えします。

■古参のプライドを守り、若手を活かす「3つの評価・抜擢基準」
1.「結果の公平性」から「プロセスの透明性」への転換
人間は、結果そのものよりも「その結果に至るプロセスが公平だったか(手続的公正)」を重視します。
抜擢の基準を「売上」のような数字だけでなく、「どのような行動が評価されたのか」というコンピテンシー(行動特性)として数値化・言語化し、全社に公開してください。
このとき、組織として求める行動特性と評価基準を一致させることが重要です。
ブラックボックスをなくすことが、嫉妬を「納得」に変える第一歩です。

2.「役割のリフレーミング」で古参の自尊心を充填する
若手を抜擢することが、古参社員に対して「君たちは時代遅れだ」というメッセージとして伝わってしまうのが最悪のパターンです。
古参社員の役割を「プレイヤー」から「若手リーダーの『精神的支柱』や『リスクマネジメントのプロ』」へと再定義(リフレーミング)してください。
彼らの経験という資産をリスペクトする姿勢を、経営者が示す必要があります。
なお、リスクマネジメントという名のもとに、揚げ足を取るようなことにならないよう、注意が必要です。

3.「社会的証明」を活用した、周囲からの推薦制度
トップダウンの抜擢は「社長のお気に入り」という誤解を生みやすいものです。
抜擢の基準に、360度評価や同僚からの「推薦・感謝の声」といった要素(社会的証明)を組み込みます。
「みんなが認めているから、彼がリーダーになるのは妥当だ」という空気を作り出すことで、抜擢された若手も動きやすくなります。

抜擢人事の本質は、「誰を上げるか」ではなく、抜擢人事を起爆剤として「残された人たちに、どう明日からの挑戦に火をつけるか」にあります。

お互いの強みを認め合い、ベテランの「経験」と若手の「突破力」が掛け算になったとき、組織は活性化され、次のステップへと進んでいきます。

(本日の質問)
あなたの組織の抜擢人事は、社員全員の「次の挑戦」への起爆剤になっていますか?

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