「『とにかく売ってこい』という営業と、『これ以上無理な納期は受けるな』という製造部門」
「板挟みになった社長が、いつも両者の愚痴の聞き役になって消耗している……」
事業が順調に成長し、組織が機能ごとに分化し始めた経営者様が必ず直面する「部署間のサイロ化」。
実はこの対立、メンバーの性格やコミュニケーション能力の問題ではありません。
心理学でいう「内集団バイアス(自分の属するグループを優遇し、他グループを敵視する心理)」が構造的に引き起こしている現象です。
人間は、集団が分かれた瞬間に無意識に「敵・味方」の認知を作ります。
この壁を壊し、全従業員の力を一つのベクトルに向けるための3つの心理学的・構造的アプローチをお伝えします。
■部署間の壁を溶かす「3つの構造的アプローチ」
1.「上位目標(Superordinate Goals)」の再設定
社会心理学の有名な実験(泥棒泥棒実験)では、対立する2つのグループを和解させたのは、話し合いではなく「協力しなければ絶対に解決できない共通の危機(課題)」でした。
「営業目標」「製造効率」という部門個別のKPIだけでなく、「顧客リピート率」や「全社利益率」など、両者が手を取り合わなければ達成できない『上位目標』を評価制度に組み込む必要があります。
2.「接触の仮説」を科学したジョブ・ローテーションと共同PJ
単に「飲み会」を開いてもサイロ化は解決しません。
必要なのは、心理学的な「相互理解」の環境です。
営業の商談に製造リーダーを「技術顧問」として同席させる、あるいは製造の現場に営業マンを1日留学させる。
「相手のコンテクスト(なぜその主張をするのかという背景)」を体験させることで、敵から「リスペクトすべき相棒」へと認知が書き換わります。
3.情報非対称性を解消する「共通のダッシュボード」の設置
対立の多くは「相手が何に苦しんでいるか見えない(透明性の錯覚)」ことから生まれます。
営業の案件進捗と、製造の稼働状況を全員がリアルタイムで見られる仕組みを作ります。
情報がオープンになることで、「自己利益」による攻撃性が消え、「今、あっちが大変だからこっちでカバーしよう」という社会的交換理論(互恵性)が働き始めます。
営業の正義も、製造の正義も、どちらも「会社を良くしたい」という同じ願いから出発しています。
それがいつの間にか、自分たちの都合が優先されるようになってしまいます。
必要なのは、彼らの感情をぶつけ合わせることではなく、「2つの川が合流して、より大きな流れとなるための仕組み」を社長が作ることです。
全従業員が「部門の利益」を超え、「顧客の成功」のためにスクラムを組んだとき、組織の生産性は爆発的に向上します。
(本日の質問)
あなたの会社では、部署同士が「内輪揉め」というエネルギーの無駄遣いをしていませんか?

