「製造部門が、顧客の要望よりも『自社の作りやすさ』を優先してしまう」
「バックオフィスにとって、顧客は『画面の向こうのデータ』になってしまっている」
事業拡大が進む経営者様が、組織の「一体感」と「顧客満足度」を同時に高めようとしたときにぶつかる壁です。
なぜ、非営業部門には「顧客視点」が育ちにくいのか?
それは彼らの能力の問題ではなく、人間の脳が持つ「社会的距離(Social Distance)」と「利用可能性ヒューリスティック(思い浮かびやすさのバイアス)」のしわざです。
人間は、直接会ったことのない人の感情や痛みを想像するのが非常に苦手な生き物です。
彼らをマーケターに変えるための3つの心理学的アプローチをお伝えします。
■全社員の脳内に「顧客」を住まわせる3つの教育戦略
1.「疑似体験」による社会的距離の縮小
製造や総務のメンバーにとって、顧客は「仕様書」や「請求書」という記号にすぎません。
この距離を縮めるために、「顧客の生々しい声(喜びの声だけでなく、リアルなクレームや困りごと)」を動画や音声でも全社に共有します。
脳のミラーニューロンを刺激し、「自分の仕事の先に生身の人間がいる」という手触り感を持たせることが最初のステップです。
2.「アイデンティティ・リフレーミング」で当事者意識を作る
「自分は作る人、売るのは営業」という認知(役割固定)を書き換えます。
例えば、製造部門の研修で「私たちの仕事は、製品を通じて顧客の不便を解消するマーケティング活動である」と再定義します。
人間は「自分に与えられたラベル(役割)」に自身の行動を合わせようとする心理(ラベル効果)があるため、自尊心を刺激しながら視座を引き上げることができます。
3.「内部顧客(Internal Customer)」の概念のインストール
すべての部門が直接、最終顧客と接する必要はありません。
「自分の次の工程にいる社員(営業や前線スタッフ)を最初の顧客と見立て、彼らを感動させるにはどうすべきか?」を考えさせます。
「互恵性の原理(お返しをしたい心理)」が働き、バックオフィスの業務改善が巡り巡って最終顧客への提供価値向上に直結する構造を作ります。
全社的なマーケティングマインドの醸成とは、全員に売らせることではありません。
従業員全員が、「自分の今日のこの1時間が、どうやってお客様の笑顔に繋がっているか」をロジカルかつ情緒的に理解している状態を創ることです。
営業が誇りを持って売り、製造が顧客を想って創り、バックオフィスが支える。
そんな「全員マーケター組織」の強さは、競合にとって最大の脅威になります。
(本日の質問)
あなたの会社では、バックオフィスの机の上に「お客様のストーリー」が置かれていますか?

