「企画が持ってくる見込み顧客は薄いものばかりだと営業が怒っている」
「せっかく見込み顧客を獲得したのに、営業が真剣に追ってくれないと企画が嘆いている」
従業員数が多くなり組織化を進め、マーケティング(企画)とセールス(営業)の分業化が進んだ経営者様が必ずぶつかる「評価指標の対立」。
実はこれ、お互いのセクションが「自分の指標(KPI)を最適化しよう」と脳が合理的に判断した結果、全体最適が破壊されている状態です。
心理学ではこれを「コブラ効果(良かれと思ったインセンティブが、かえって最悪の結果を招く現象)」と呼びます。
企画のKPIが「見込み顧客獲得数」だけなら、質を無視して「数」に走る。
営業のKPIが「成約数(率)」だけなら、手離れの悪い見込み顧客を即座に捨てる。
この「お互いの正義の衝突」を解消し、組織の力を最大化する3つの心理学的インセンティブ戦略をお伝えします。
■営業と企画を「運命共同体」にする3つの心理・報酬設計
1.共通の「遅延報酬(SLA:サービス品質合意)」による認知の同期
企画と営業の間に、心理学的な「契約(コミットメント効果)」を結ばせます。
単なる「見込み顧客数」ではなく、「営業が5日以内にアプローチし、商談化に至った『有効見込み顧客数』」を企画の評価指標に組み込みます。
これにより、企画の脳は「営業が喜ぶ質の高い見込み顧客をどう獲得するか」へとシフトします。
2.「相互依存性(Interdependence)」を組み込んだクロスインセンティブ
人間の脳は、「相手の成功が自分の利益に直結する」と理解した瞬間に、最大の協調性を発揮します(社会的交換理論)。
企画のボーナスの一部を「営業部の目標達成率」に連動させ、逆に営業のボーナスの一部を「企画が狙い通りに獲得したターゲット層の成約率」に連動させます。
「相手の足を引っ張ると自分が損をする構造」となるように、評価制度を美しくデザインするのです。
3.「近接性の法則」による心理的サイロの破壊
インセンティブの数値だけでなく、物理的・情報的な距離を縮めます。
企画と営業の合同リフレクション(振り返り)会議を毎週設置し、「なぜこの見込み顧客は成約しなかったのか」「どんなトークが顧客に刺さったか」のデータを共有させます。
相手の「業務の背景(文脈)」を理解させることで、敵対心は消え、「一つのパイを奪い合う関係」から「共にパイを大きくする仲間」へとアイデンティティが統合されます。
営業と企画の対立を「コミュニケーション不足」という精神論で片付けてはいけません。
原因の9割は、社長が提示している「評価のルール」にあります。
多数の従業員を抱える組織が、部門の壁を超えて「顧客の獲得から成約まで」を一本の美しいストーリーとして繋げられたとき、貴社の成長スピードは加速します。
(本日の質問)
あなたの会社のインセンティブ設計は、従業員を「孤立したハンター」にしていますか?それとも「最強の猟犬チーム」にしていますか?

