経営コラム


指示待ち人間は、あなたの会社が「優秀な脳」を持っているから生まれる

「『自分で考えて動け』と言っているのに、結局『次は何をすればいいですか?』と聞きに来る」
「流行りのティール組織を導入すれば、現場が勝手に回り出すのだろうか?」

組織の「自律」を切望する経営者様から毎日のようにいただくご相談です。
実は、社員が指示待ちになるのは、彼らの能力やモチベーションが低いからではありません。
人間の脳が持つ「学習性無力感」と、組織の「心理的安全性」の欠如が原因です。

また、ティール組織は、一人ひとりが一連の業務を完結できないと機能しません。
自社の現状を踏まえずに、「今日からティール組織だ。各自で決めてくれ」と丸投げすると、組織は確実に崩壊します。
中小企業が安全に、かつ確実に自律型組織へ移行するための3つの心理戦略をお伝えします。

■「指示待ち」を打破し、現場の意思決定を促す3つのステップ
1.「学習性無力感(Learned Helplessness)」の呪縛を解く
過去に「良かれと思って提案したのに却下された」、「自分で決めたら怒られた」という経験があると、脳は「余計なことはしない方が得策だ」と学習します。
これが指示待ちの正体です。
まずは、どんな小さな提案でも「発言した行為そのもの」を全肯定する環境(心理的安全性)を作り、脳のブレーキを外すことから始めます。
また、提案を却下する際には、なぜ採用できないのかをていねいに説明する必要があります。

2.「ティール組織」ではなく「限定的自治(ローカル・オートノミー)」を
ピラミッド組織をいきなり解体するのは劇薬すぎます。
まずは、「このプロジェクトの予算50万円の使い道」、「この顧客への対応ルール」など、失敗しても致命傷にならない『限定された領域』で、チームに権限委譲します。
自分たちの決定が現実を動かすという「自己効力感(Self-efficacy)」を、スモールステップで育んでいきます。

3.「境界線(バウンダリー)」をロジックで明示する
現場が意思決定を恐れるのは、「どこまで勝手に決めていいか(自分の裁量)が分からない」からです。
心理学において、自由は「明確な枠組み(ルール)」がある中で初めて最大化します。
「ここまでは現場で決めてOK(緑信号)」、「ここは相談(黄信号)」、「これは社長案件(赤信号)」というように境界線を明確にすることで、現場は迷いなく、自信を持って意思決定できるようになります。

「ティール組織」という言葉(形式)に惑わされる必要はありません。
大切なのは、従業員全員に「自分の意思で会社を動かしている」という心理的所有権をどれだけ植え付けられるかです。

社長が「指示を出す人」から「問いかけ、見守る人」へシフトしたとき、従業員はフォロワーからリーダーへと覚醒します。

(本日の質問)
あなたの会社は、社員が「自分で決める楽しさ」を味わえる場所になっていますか?

アーカイブ