『大人の道徳: 西洋近代思想を問い直す』を読みました。
ちょっと難しかったですが、私が「自由」に関して話をしているときに覚える違和感の理由が分かった一冊でした。
本書では、「自由」を「市民の自由」と「奴隷の自由」に分けて議論しています。
「市民」と「奴隷」というと、不穏な響きもありますが、これは古代ギリシア時代の区分です。
本書の内容をここで書き切ることはできませんが、端的にまとめると下記のようになります。
・公共的な活動に参加することこそが、自由な市民であることの証明であった。
・理性と一般意志が、近代に成り立つためには不可欠であった。
・一般意志とは、自分のことだけでなく、すべての人のことを考え、そのために行動する意志である。
・産業革命以降、「自分のやりたいことをやる」奴隷の自由が主流となった。
・今一度、市民の自由に立ち返るべきである。
さて、ここからは私見です。
結局、「自分のやりたいことをやる」のか、「周囲のためにできることをやる」のかの違いだと思います。
私はフリーランスとして活動していますが、それでも多くの方と関わって仕事や生活をしています。
自分勝手では、仕事はできません。
自分のやりたいことを相手のメリットに変換する、自分のできることで相手の役に立つことをするという意識が必要です。
多様性が叫ばれていますが、全員が自分勝手に行動したら、社会は成り立ちません。
全体観を持ちながら、自分の振る舞いを調整することが、これからの時代には求められるのではないでしょうか。