本年も様々な本を読みました。
その中で、最も共感した一冊が、河合隼雄著『こころの処方箋』です。
河合氏の文章に初めて出会ったのは、中学生の時でした。
当時の自分でもすっと内容が入ってきて、不思議な感じがしていました。
それ以来、河合氏の作品を好んで読んでいます。
本書では、臨床事例をもとに、人の心や社会の問題点について、鋭い見解がなされています。
その本質を突いた指摘も参考になりますが、語り口調で書かれた文体も見事です。
一度に速読するのではなく、ひとつひとつ大切に読んでいきたい作品です。
読む人によって響いてくる箇所が異なるのではないでしょうか。
私は心が乱れたときに、その状態にあう章を探して読んでいます。
いつまでも手元に置いておきたい一冊です。