スクーリングパッド農業ビジネスデザイン学部の講義を約1年ぶりに聴講してきました。
スクーリングパッドでは、卒業後も無料で自学部の講義を聴講できる制度があります。
今回の講師は、民俗学者の結城登美雄氏でした。
昨年お話を伺って心を強く打たれたので、今年も講義にお邪魔することにしました。
冒頭は東日本大震災についてでした。
結城氏は「東日本大震災によって、食料とエネルギーをどうするかを問われた。」と主張します。
震災前の東北の漁港を見ていると、いかに大きなもの(そこにあった生活)が失われたかが痛いほどわかりました。
スライドを見ながら、目がうるんできてしまいました。
東北の小さな漁港の人々の思いとして、「海を畏れながらも信頼し、海の恵みに感謝する。」という言葉を紹介されました。
日本古来の自然との付き合い方が凝縮されていると思います。
その後は、「食はぬちぐすい(命薬)」というテーマで話が進んで行きました。
ここは昨年と同じテーマですが、提供された資料に変化がありました。
人口の2.2%が食料生産を支えている現状や、食料の価格が安く年金をつぎ込んで農業をしている事実などが告げられました。
米作りの収入を時給換算すると179円であることを聞き、教室には驚いた空気が流れました。
結城氏は「食」には、生きるための食、儀礼(感謝)の食、楽しみの食があると言います。
そして、現代は「楽しみの食」にばかり関心が集まり、本来の「生きるための食」がないがしろにされていると指摘します。
「食物は最大の社会資本である」というソクラテスの言葉も引用しながら、国の食糧政策に問題提起をされました。
鳴子の米プロジェクトについても話がありました。
このプロジェクトでは、1俵(60kg)あたり24000円で販売されています。
高いと感じるかもしれませんが、お茶碗1杯にすると24円です。
これは本当に高いのでしょうか?
このような見せ方にも関心いたします。
また、新聞見開き1枚分の田んぼから、ごはん3杯分のお米がとれるそうです。
このプロジェクトでは、稲刈りの際に新聞見開き1枚分の田んぼを刈り残し、この話をするそうです。
すると、小さな子供が手を合わせて拝んだといいます。
我々が忘れかけているものが、この行為に象徴されているのではないでしょうか。
今回の講義でも、様々な問題を提起され、現地に足の着いた話に強く心を打たれました。
私も生産者と消費者をつなぐお手伝いをこれからもしていこうと、決意を新たに致しました。