北千住のシアター1010で行われていた、ミュージカル『蝶々さん』に行ってきました。
本作品は『マダムバタフライ』のジャポニズムに対する、
日本人による価値の再評価といった意味合いが強く出ていました。
再演の今回は、セットもキャストもシンプルにそぎ落とされ、日本らしさが出ていました。
自決の場面も直接描かないところも、日本的といえるかもしれません。
しかし、彼女の生き方も現代の日本からすると、少し遠いものに感じられます。
ある種のノスタルジーかもしれません。
時代や環境の変化の中で、我々が忘れてきたものに気づかせてくれました。
終盤は涙がこぼれてきました。
それは、悲しみの涙ではなく、彼女の生き方に表される古き日本の「美しさ」に対して、
価値観の相違や、先行きが分かっているのに何もできないもどかしさ、
知っている人と知らない人の差といった「やるせなさ」に対するもどかしさ・憤りによる涙だったと思います。
人は誰しも主観的現実を生きています。
それと異なる現実に出会ったときにいかに対処できるかが、その人の「強さ」かもしれません。