『1坪の奇跡―40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と仕事』を読みました。
早朝から行列をする羊羹で有名なお店の話です。
本の中では、著者の職人としてのこだわりや技について、記載されています。
羊羹を練る作業は、その時の小豆の質や炭の火加減、温度や湿度によって、調整しなければならないそうです。
そのため、著者は毎日自転車で出勤する途中に、花の様子を見たり、風を肌で感じたりすることで、その日の状況を判断しています。
また、鍋をかき回す際には、半紙1枚の薄さを残して行います。
こうした、職人技により、あの絶妙なバランスの羊羹ができています。
職人の感覚による微調整の集合体が味として現れているため、なかなか真似をしようと思ってもできません。
その味が、強力な差別的優位性として働いています。
一方、後継となる従業員の方もこの職人技を完全には習得できていないそうです。
感覚は経験を積み、自分で気づくしかありません。
そのため、技能伝承が難しいところが、職人技の難点です。
それでも、教えていくことは可能です。
作業プロセスを細かく分解し、そのひとつひとつで本人が気をつけていることや感じていることを言葉にしていきます。
後は、習った側が繰り返しの中でコツを掴んでいくしかありません。
上手くいったときには評価し、上手く行かなかったときにはどこがいけないのかを伝えることで、早くコツを掴むことができます。
その人にしかできない職人技は会社の大きな強みになります。
それを他の人にも伝えていくことで、さらなる強みとなります。
そのためには、プロセスの見える化が不可欠です。
【本日の質問】
あなたの会社にはどのような職人技がありますか?