楡 周平著 『限界国家』を読みました。
少子高齢化、人口減少が続くとどうなるのかが、コンパクトに描かれています。
私も概ね同じ考えでしたが、「移民政策」について、もう少し掘り下げてみたいと思います。(やや長文になってしまいました。)
以下は、私個人の考えであって、『限界国家』とは関係がありません。
結論から言えば、国力のあるうち(人口が1億人を切る前)に、移民政策を実行すべきと考えています。
そのためには、今すぐ「移民政策」の議論を本格化させた方が良いと思います。
経済や社会を維持するためには、一定の人口が必要です。
少子化に歯止めがかからなければ、外から人を受け入れるしかありません。
これは、ブラックホール自治体と同じ構造です。
人口の自然減を社会増で補います。
国力のあるうちにというのは、経済力がある(仕事がある)ということが、外部から人を引き付けるからです。
どうにもならなくなってから慌てて門戸を開いても、魅力のないところには誰も来てくれません。
ただし、理屈としてはそうだとしても、感情的に移民を受け入れられない人も多いと思います。
合意を得るまでに時間がかかるからこそ、今すぐ議論を開始すべきと考えます。
以下に、現状で私が思いつく移民に対する懸念事項と対応策を挙げてみます。
なお、日本人、外国人という定義も今後の議論となると思いますが、現時点で日本国籍を有している人を日本人、それ以外を外国人として、ここでは話を進めます。
1.日本が外国人で溢れてしまう
仮に日本人の人口1億人の時点で、外国人2千万人を受け入れたとすると、外国人の割合は約16.7%となります。
これくらいの割合になると、一定の存在感になると思います。
ただし、日本中にあふれかえることにはならないと考えています。
諸外国を見ていいても、移民した人たちは同じ出身国でコミュニティを作ります。
いわゆる「リトル◯◯」です。
また、仕事を求めてくる以上、まずは都市部や企業城下町に住むことになると思います。
そのため、日本全土にまんべんなくとはならないと思われます。
そうすると、ますます都市部と地方で人口格差が広がりそうですが、地方にも一定の人口流入があると考えます。
それは、都市部で生活できなくなった人たちが、地方に移ると予想しているからです。
2.外国人に介護などを受けたくない
そもそも、この考え方がというのはありますが、日本人に介護などをしてもらいたいという一定のニーズがあれば、市場として成り立ちます。
マレーシアで移民の方のお話をうかがったら、民族ごとに仕事の棲み分けができているそうです。
決して差別的な意味ではなく、ニーズや先行事例にあわせて、自然発生的に棲み分けが日本でも起こるのではないでしょうか。
3.日本の文化伝統が失われてしまう
担い手がいなくなれば、遅かれ早かれ、文化伝統は失われてしまいます。
新しい担い手を取り込みながら、変化を続けることができたものが残っていくのではないでしょうか。
4.社会保障制度が破綻してしまう
現状の社会保障制度は、少子高齢化・人口減少が進めば、成り立たなくなると考えています。
支える側と支えられる側が1:1でも成り立つような制度設計の見直しをする際に、移民の問題も組み込んで検討すれば良いと思います。
なお、社会保障制度を受けるのであれば、移民者にも負担を求めるべきですし、不正受給は、日本人であろうと外国人であろうと許されるものではありません。
移民政策も含めて、今後の日本の姿を真剣に考える時期に来ていると、私は考えています。
【本日の質問】
あなたは、どのような日本の姿を描いていますか?