経営コラム


環境の変化に対応する

失敗の原因を外部要因のせいにする人は、成功しないというようなことを言われることがあります。
本人が内省しない限り、成長がないというのは確かなことです。
しかし、失敗が外部要因によるということは、ビジネスでは良くあります。

例えば、かつて公共事業の仕事は、受注側が自由に値段を付けることができるドル箱でした。
利益率が高い割の良い仕事でした。
しかし、公共事業にもコスト意識が生まれ、入札制度に変わりました。
こうなると、受注側が自由に値段を付けることはできなくなりました。
競合他社との競争も生まれますし、発注側も価格が適正化を判断するようになりました。
結果として、利益率が低下し、場合によっては赤字の仕事となりました。

このような変化に気が付かず、公共事業の仕事を今でも追い求めている企業もあります。
変化に気が付かない理由は、主に2つあります。
ひとつは、「ゆでがえる」のたとえ話に表わされるように、徐々に変化する状況に気が付かないことです。
もうひとつは、思い込みで現実を的確に捉えられていない場合です。
どちらも、現実を直視すれば気がつくのですが、その仕組みがないために変化に気が付きません。
案件ごとの収支管理をデータ(実数値)で行えば、変化に気が付きやすくなります。
データで行わず、頭のなかで行っていると、印象に左右されることがあります。
現実を客観的に確かめる仕組みが必要です。

そして、変化に気がついたら、自分も変わらなければなりません。
先の公共事業の例で言えば、公共事業の収益性が悪化したことに気がついたら、その対策を考えます。
入札制度で収益性を高める仕組みを考えるというのも一手です。
収益性の高い民間の仕事を探すというのも一手です。
変化に気が付きながらも、指をくわえてみているだけでは、意味がありません。
内省はこの変化への対応のために必要です。

現実を正しく認識することと、変化に適切に対応することが、企業の生き残りには不可欠です。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

アーカイブ