経営コラム


学ぶ理由、働く理由

内田樹著『下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉』を読みました。

著者のバックボーンが色濃い部分もありますが、社会の一側面をうまく切り取っていると思いました。

努力と格差の問題、自分と意見の違う人を無知・無能と罵る対立の一因が示されています。

 

以下、本書の内容を私なりに編集してご紹介します。

【 】は、私がつけた小見出しです。
・は、本書からの引用(一部語順の入れ替えなどはあります)
( )は、私なりの補足です。

【学ばない理由・時代背景】
・わからないことがあっても気にならなくなっている。
・「自分の知らないこと」は、「存在しないこと」にしている。
・子どもたちは、就学以前に消費主体として自己を確立している
(=お金を持っていると、社会の一員として扱ってもらえる)
・(お金を持たない子どもは対価交換の手段として)「他人のもたらす不快に耐えること」が、家庭内通貨として機能することを人生のきわめて早い時期に習得している。
(結果として、不快を主張することで学ばないことを正当化している)

【格差形成】
・迷惑をかける相手もかけられる相手も持つことができない」膨大な数の社会的弱者をつくり出しつつある。
・「自己決定フェティシズム」というのは、「自己決定すること」が国策として推奨され、イデオロギーとして他律的に注入されている社会。
・ヨーロッパのニートは階層化の一つの症状で、本人に社会的上昇の意思があっても機会が与えられない。
・日本のニートの問題は、社会的上昇機会が提供されているのも関わらず、子どもたちが受取的にその機会を放棄している。
(上記の学ばない理由参照)
・子どもたちが「時間」と「変化」について、ムズからを閉ざすように幼くして自己形成を完了させてしまった。
(早熟というよりは、未成熟だと思います。)

【働かない理由】
・自分の成功を求める生き方と、周りの人にささやかな贈り物をすることを大切にする生き方のどちらも、社会には必要。
(自分の成功が、周りを騙すことなく幸せにすることが理想的です。)
・労働とは、本質的にオーバーアチーブである。
(自分の取り分以上に働かなければ、会社組織を維持することはできません。それを理解できないとがんばるだけ損と考えてしまいます。)

【学ぶことの本質】
・知性とは、自分自身を時間の流れの中に置いて、自分自身の変化を勘定に入れること。
・無知とは、時間の中で自分自身もまた変化するということを、勘定に入れることができない思考のこと。
・学びからの逃走、労働からの逃走とは、おのれの無知を固着する欲望である。
・教育の目的は、時間が経過するにつれて、さまざまな経験を取り込んで、自分自身の質を向上させていく能力を習得させること。

ダイジェストでお伝えしているので、内容気になった方は本書を読んでみてください。

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