山崎 史郎 (著)『人口戦略法案 人口減少を止める方策はあるのか』を読みました。
正直なところ、ここまで議論が進んでいるとは思いませんでした。
私が移民について考えていたのは、日本社会全体として子育てや人口減少に取り組むつもりはないと思っていたからでした。
しかし、本書を読んで、少し希望がもてました。
本当にこれだけのことができるのかは分かりませんが、人口1億人という目標が達成できれば、まだ日本の将来に希望がもてるのではと思いました。
そもそも、人口1億人という目標が適正な人口構成を目指した数値であることも、はじめて知りました。
本書の内容すべてに賛成するわけではありませんが、こうしたデータを元にした議論が活発に進んでいって欲しいです。
本書で懸念されていた問題点2点について、私も考えてみたいます。
国民負担の増加
新たな支援策には、財源が必要となります。
私は、そのための国民負担はやむなしと考えています。
社会全体で、子育てや人口減少に取り組むのであれば、全員で少しずつ負担を分かち合う必要があります。
人口減少が進めば、経済規模縮小だけでなく、社会の担い手がいなくなりますので、各種インフラや社会保障制度の維持なども困難になります。
自国で人口を維持できなければ、移民に頼るしかありません。
どのような方法がよいのかの議論は必要ですが、日本社会全体として人口減少に取り組むのであれば、相応の負担は仕方がないところです。
費用対効果を疑問視する声もありますが、まずは日本社会全体として取り組むという決意が必要です。
そのうえで、データをみながら、適宜修正をしていけばよいと思います。
国家が国民の生き方を強要するのか
出生数などの目標を定めると、それをプレッシャーとして感じる人もいるという懸念があります。
たしかに、プレッシャーに感じる方もいるでしょうが、今の若い世代を見ていると、自分の生き方を選択する人の方が多いのではと思います。
どうしても戦中の「産めよ増やせよ」のイメージがありますが、時代は変化しています。
むしろ、子どもをもたないという選択をした人の声が、子どもをもちたい・子育てをする人たちへの適切な支援を妨げてしまうことの方を、私は懸念します。
上述のとおり、日本社会全体で人口減少に取り組むという姿勢を打ち出したうえで、ライフプランの選択は個人の自由であるということもしっかりと啓発していけばよいと思います。
人口減少問題は、まったなしです。
特効薬があるわけでもありませんので、社会全体で真摯な議論を深められればと思います。