雁屋 優 (著) 『マイノリティの「つながらない権利」――ひとりでも生存できる社会のために』を読みました。
マイノリティだけに限らす、コミュニティ参加に関するヒントがたくさんあり、参考になりました。
情報を得ようと思ったら、「つながり」を作る必要があります。
SNSのフォローのような弱いつながりでも、かなりの情報が得られます。
誰でも容易に情報にアクセスできる仕組みは不可欠です。
しかし、体系化されていない情報や核心的な情報を得ようとすると、強いつながりが必要になります。
私は、「つながる」ということは、相手の力や知識を借りるということだと考えます。
つながりが強いほど、より多くを借りることができるということです。
積極的にコミュニティに参加するメリットのひとつが強いつながりであり、積極的につながる人とそうでない人の間に差ができてしまうことは仕方ないと思います。
もちろん、雁屋氏が提案するようにつながりの強弱による情報格差をなくそうとする取り組みは重要ですし、否定するものではありません。
だたし、どんなに仕組みを改善しても、つながりの強弱による情報格差はゼロにはならないというのが、私の考えです。
コミュニティ参加のハードルとして、価値観の違いがあります。
この点については、本書の中で飯野由里子氏とのインタビューの中での指摘が、まさにその通りだと思いました。
要約すると、「みんな違うのだから、コンフリクトが起こるのは当たり前。コンフリクトを起こさないようにするのではなく、コンフリクトをどう乗り越えるかが重要。」ということです。
傾聴や他者理解は重要です。
そこからさらに、お互いの意見や価値観をすり合わせるという作業をしなければ、多様な価値観を共存させるのはできません。
私見ですが、なぜすり合わせができないのかというと、大変な労力がかかるからです。
わざわざ大変な思いをするのであれば、うまくやり過ごそうと考えるのも当然です。
しかし、その大変を乗り越えない限り、新しい世界は生まれないのではと、私は考えます。