心理学の用語で「アフォーダンス」というものがあります。
「動物と物の間に存在する行為についての関係性そのもの」という意味ですが、
デザイン業界では、「人と物との関係性をユーザに伝達する事」という意味で使用されています。
後者は誤用であるという指摘もありますが、ここでは後者の意味で話を進めます。
「人と物との関係性をユーザに伝達する事」を簡単に言えば、「見れば使い方が分かる」ということです。
例えば、ドアにプレートを付けておけば、そのドアは押して開くということが分かります。
AV機器などで、対応するコードとコネクターの色を同一にするというのも一例です。
このようにアフォーダンスを意識したデザインは利用者の利便性を高めます。
一方、アフォーダンスが意識されていないと利用者にストレスを与えます。
例えば、ホテルのテーブルの上にリモコンをまとめて置いておくとします。
利用者はどれがどのリモコンなのかすぐにはわかりません。
ひとつずつ試してみるか、日常の経験から類推することになります。
なかなか目的のリモコンが見つからないということは不快な経験となります。
清掃の都合などから、リモコンを1箇所に集めたほうが良いのかもしれません。
しかし、それぞれの機械の側に対応するリモコンがあれば、利用者は迷わずに使用できます。
利用者目線で物と機能の関係性を考えることが大切です。