平野 啓一郎著『私とは何か――「個人」から「分人」へ 』を読みました。
本書の内容を一言で表すと、人は他人との関係性によって生じる複数の「分人」の集合体であるということです。
個性と言われて久しいですが、一人の人には一つのパーソナリティがあると考えられていました。
しかし、実際には人には複数の顔があります。
そのどれもが、本当の自分です。
そして、複数の顔は、他人との関係性によって生まれる「分人」なのです。
相手によって「分人」を使い分けていますし、自分にとって心地よい「分人」があります。
このバランスを整えることが必要です。
本書の概要は、上記の通りです。
私は、これを読んで、ものすごく腑に落ちました。
一緒にいる人によって、私の性格が変わります。
人によって態度が変わるのは、自分に問題があると考えていました。
しかし、相手との相互作用によって「分人」が変わるのであれば、その「分人」は私の素直な感情ということになります。
自分を素直に表現して構わないのだと安心をしました。
また、「分人」が相互作用で生まれるのであれば、私が相手に影響を及ぼしている部分もあります。
相手の態度をよく思わないときは、私が相手に不快感を与えているということでもあります。
自分の振る舞いを見直す良いきっかけになりそうです。
コラムという短い文章の中では、「文人」について、説明しきれません。
気になる方は、本書を読んでみてください。